〜特別展〜

昭和名碗鑑

Showa-Meiwan-Kan

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板谷波山/ Hazan ITAYA

1

天目茶碗/Tea Bowl

共箱/ Box included

11.6/H6.3cm

中国ではこのような禾目状に出たものを兎のしっぽに例えて兎毫盞(とごうさん)などと称する。外側の禾目は褐色に呈している所とややラスターのように光った部分がある。口縁は赤抜けして辰砂になっている。見込みは星空のような結晶が見えている。形は天目形であるが、寸分の妥協も感じない厳しい形となっている。波山先生は中期から晩期にかけての長い間、天目茶碗を製作している。高台脇には「波山」の印銘がある。

岡部嶺男/ Mineo OKABE

2

窯変米色瓷碗 /Tea Bowl

共箱/ Box included

14.2/H6.8cm

吸い込まれそうな見込みである。嶺男先生はあらゆる青瓷を手がけているが、窯変米色瓷とはその名の通り、青瓷を窯変をさせた米色瓷である。ほとんどの陶芸家がチタンなどの金属を混入し呈色させるが嶺男先生の米色は窯変である。形、釉調、貫入、土味ともに申し分なく、高雅な品格に満ちている。昭和46年に発行された岡部嶺男作品集に掲載されている茶碗である。

高台内に「嶺」のくずしの彫銘がある。

岡部嶺男/ Mineo Okabe

3

米色瓷碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

13.0/H8.1cm

口縁のくびれとそれよりやや下の二段の柔らかい轆轤目が美しい青瓷を通して見えている所がこの茶碗の一番の見所となっている。この作品の青瓷釉は粉青と米色瓷の片身替わりとなっている。赤い貫入は窯出直後に入れられた紅殻で無色透明な貫入はそれ以降に出来た経年貫入である。その二種類の貫入は不規則でいて素晴らしい景色を奏でている。いつまでも眺めていたい茶碗である。どこまでも静謐でいながらも同時に釉の流れを感じる。嶺男先生はその対極するものを表現することが出来てしまう。

高台内に「嶺」のくずしの彫銘がある。

石黒宗麿/ Munemaro ISHIGURO

4

赤絵金彩双魚文碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

15.0/14.8/H5.2cm

宗麿先生の最晩年の作品である。金彩が入った人魚の茶碗は大変稀少である。中国の宋時代、最古の赤絵と言われている宋赤絵を基にした茶碗だが、宗麿先生はそれに愛情と詩情を入れて一歩進んだ仕事をして、お茶が美味しくいただけるように繊細な仕事をしている。この茶碗を掌にのせてみれば、それが伝わるに違いない。見込みの人魚の絵の描き方も勿論だが、高台に見られる情緒ある轆轤目、たれた一筋の緑釉、中心をややずらした透明釉の掛け方、どれをとっても宗麿先生の美意識を感じることが出来る。

高台脇に「S」の彫銘がある。

北大路魯山人/ Rosanjin KITAOJI

5

三島手茶碗/Tea Bowl

共箱/ Box included

13.5/H5.9cm

本年の春に昭和陶藝巨匠展で皆様に見ていただいた彫三島茶碗は昭和3年作の作品であった。この茶碗は、あの躍動感に満ちた茶碗から約28年後の茶碗である。この作品は昭和31年に行われた第50回個展記念展観に出品されている魯山人先生の自信作である。その漲る力は先生の年と共に外側から内側に込められたのであろうか。所々に御本状に発色された桃色の陶肌が余計に愛おしさを増している。
北大路魯山人/ Rosanjin KITAOJI

6

志野茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

11.0/H8.8cm

赤、鼠、白の三色が綺麗に混在した茶碗はとても少ない。正面には桧垣文様、裏面には木賊文様が掻き落とされているが、これがまさに魯山人先生の線である。生きた線を書けるのは、それを理解しているからこそ出来るのだが、芸術家として、この線が最も重要である。魯山人先生は器としてよごれにくく使いやすい志野を作りたく高火度で焼成するが、特有の雅味は健在である。
荒川豊蔵/ Toyozo ARAKAWA

7

瀬戸黒茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

13.3/13.0/H9.0cm

瀬戸黒は焼成中に窯から外に出し、急冷させることによって漆黒の釉を呈する。そのタイミングはとても難しくこの茶碗のように梅華皮が美しくなるのは一窯で幾碗もないであろう。早目にだせば釉は溶けきらずがさつき、遅ければ釉が流れて面白味にかける。胴に入った線、波打つ口縁、土味、彫刻的な茶碗の形など見所はたっぷりある。豊蔵先生としては他のものよりも量感的なものを感じる。

高台脇に「斗」の彫銘。

荒川豊蔵/ Toyozo ARAKAWA

16

志野茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

13.5/H9.7cm

無地志野は絵志野とは違い、釉肌と形に目が集中するため作家としては一番形の良いものを無地志野にするのだという。この茶碗は形もさることながら釉調は抜群に良く、梅華皮も丸味を帯び、薄くなったところの緋色もぷっとほのかに発色している。豊蔵先生の作品には他に無い癒しを感じる。なぜか見ていると優しい気分になれてしまう。正面やや左に見られる大きな石はぜがこの茶碗の景色をより面白いものとしている。この志野茶碗と瀬戸黒を並べて眺めてみたいと思う。

高台脇に「斗」の彫銘。

三輪休和/ Kyuwa MIWA

8

萩茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

15.2/14.7/H7.2cm

なんとも侘びた茶碗である。その佇まいは古萩茶碗を凌いでいる。休和先生の思いは萩を通りこしてその源流である高麗茶碗にあったと思われる。えみ割れと小貫入には、長年大事にかわいがられ使われてきた味が染み込んでいる。高台は竹節形を呈していて、高台内には気持ちの良い縮緬皺が出ている。三輪休和作品集に所載されている。

高台脇に「和」の彫銘がある。

三輪休和/ Kyuwa Miwa

9

萩茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

13.0/H9.7cm

休和先生の堂々たる茶碗である。萩の特有の柔らかさと大井戸のような高麗茶碗の強さをあわせ持つ。細工師出身だけあって、ミリ単位のこだわりの仕事である。美しい景色を見せる釉がけや釉剥ぎにも休和先生の抜け出た感覚を感じることができる。休和先生のこうした二碗のような名碗はほとんどが山口県立美術館に収蔵されていて、私どもが扱う機会は非常に稀である。三輪休和作品集に掲載されている。

高台脇に「和」の彫銘。

川喜田半泥子/Handeshi KAWAKITA

10

茶碗 銘「もも千鳥」/ Tea Bowl

共箱/ Box included

15.0/14.8/H7.4cm

川喜田半泥子先生はその生涯通じて、自分の生活のために作品を売ることは一切なかったという。いわゆる数寄者の茶碗だが、荒川豊蔵先生、三輪休和先生、金重陶陽先生などのからひね会の作家以外にも大きな影響を与えつづけた。多くの作家に本当の茶碗とは、本当のやきものの魅力とは何かを教示したのである。この茶碗は土から出た鉄斑を千鳥に見立て「もも千鳥」と号している。ももとは百々あるいは百千と書くが、色々な千鳥の意味である。内側には雲に見える刷毛目が一気阿成に描かれている。

高台脇に茶碗形の花押の彫銘

金重素山/ Sozan KANESHIGE

11

伊部緋襷茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

13.3/12.5/H7.9cm

この茶碗は平成の名碗である。素山先生が伊部に移られてからの仕事は、轆轤を引き手を添えれば自由自在になる自分の茶碗をご本人も楽しまれたのであろう。滞りのない箆目にはリズムを感じることができる。掌にのせればぴたっとして離れない。お茶を喫すれば独特の造りからかぐるっとお茶が円を描きながらいただくことが出来る。

高台脇に「山」のくずしの彫銘

金重素山/ Sozan Kaneshige

12

備前割高台茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

14.3/13.4/H8.3cm

この茶碗は素山先生にとっても記念碑的な作品であった。黄胡麻の上に掛かっているこの漆黒の黒胡麻は昭和57年のこの窯から全て上手く行き始めたのだという。又、この高台に注目していただきたい。切れ味鋭い割高台は力強いものとなっている。箱書きに昭和57年春の署名がある。

高台脇に「山」のくずしの彫銘

加藤唐九郎/ Tokuro Kato

13

絵唐津茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

14.0/12.3/H7.4cm

唐九郎先生の一ム時代の唐津作品は大きく分けて二種類がある。青瓷釉のような透明釉が施された作品と古唐津を思わせる渋目の作品。こんなに性格の違う作品を同時代に作っている。どちらも土や釉の特性を最大限に生かしたものとなっている。釉を通して見える鉄絵はこの頃に産まれた「亜幌」や「貫道」を思わせる。高台脇に「一ム」の彫銘
加藤唐九郎/ Tokuro KATO

14

絵唐津茶碗/ Tea Bowl

共箱/ Box included

17.0/16.7/H7.4cm

もう一碗はこのような渋い色調を呈する。大井戸や古唐津を思わせる野武士的な茶碗である。お茶が入ればその渋さの意味も理解できる。こちらの渋目の唐津はもう一方とは違い一時的に作られた茶碗である。同時代の同作家による全く性格の違う唐津の二碗を並べてそこから何が分かるのか、それを感じてみたいと思う。
加藤唐九郎/ Tokuro KATO

15

志野茶碗 銘「茜」/ Tea Bowl

共箱/ Box included

13.2/12.5/H8.8cm

無地の志野ほど難しいものはないという。絵に頼らず形と土と釉薬の魅力だけで勝負をする。この茶碗は口縁から少しの所を残し、そのほとんどに削りが入っている。その削りは志野釉を単調にせず景色を作る。波のような口縁、胴部のくびれ、土味、高台と見所に満ちているが、お茶の緑が入った時の映りの良さは特筆である。

高台脇に「一ム」の彫銘。

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