2025【ひとりたのしむ　昭和巨匠陶藝逸品展】the Grand Masters of Showa Era 1. 志野茶盌　銘「雪の朝」 / Tea bowl, Shino, “Snowy Morning”

まさに一晩中降り積もった新雪の白さと、そこに足を踏み入れるような楽しさを感じる筆のさばきである。正面から見た見込側面の鉄絵はどことなく羽ばたく燕の文様にも見えてくる。柚子肌の長石釉は柔らかい。器形は作為の中に自然な揺らぎが味わい深く、力強く削り出された高台は轆轤の跡もはっきりと残っている。どこをとっても加藤唐九郎先生の精微な技巧を感じられる作である。高台脇に「一ム」の彫銘。昭和 45(1970)年頃の作。

所載
「現代日本陶芸全集11 やきものの美　加藤唐九郎」(集英社) 1981
「加藤唐九郎の世界」伊勢丹美術館（東京）他 1982
「加藤唐九郎作品集」(日本経済新聞社) 1986