2025【ひとりたのしむ　昭和巨匠陶藝逸品展】the Grand Masters of Showa Era 4. 青磁香爐　捻耳 / Incense burner, Celadon

雨上がりの空のように澄んだ色合いの美しい香爐。重心が低くどっしりと構えた姿には威風堂々という言葉が良く似合う。板谷波山先生はかつてアールヌーヴォーに影響を受けた曲線的なデザインで名を馳せたが、この表現は中国の宋や清時代の作品を参考に、次第に鋭く研ぎ澄まされた端正な造形へと変化させたものだろう。捻じれた耳や獣の顔を模した足の造形は、まさに中国の銅器や陶磁器に見られる特徴的な表現である。それらの表現を踏襲しながらも、気品に満ちた造形や神秘的な色合いには波山先生の高い技術と深い知識が息づいている。底部に「波山」の印銘。