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虎の圖 Scroll, Painting of Tiger

石黒宗麿/ MUNEMARO ISHIGURO
  • 虎の圖
添竹而猶未長哮     竹に添うて なお 未だ 長哮せず
不描牡丹反似猫     牡丹を 描かざれば 反って 猫に似たり
一揮落筆之何物     一揮 落筆 之れ 何物ぞ
我書何流任衆嘲     我は何流を画くか 衆の 嘲りに 任せん

【字解】
長哮  ――― 虎が長くほえること。
牡丹  ――― 初夏の頃美しい大輪の花を咲かせる。百花の王と言われ、百獣の王獅子の背景に描く。
添竹  ――― 虎には竹が背景に使われる。
一揮落筆 ―― 筆を揮って紙に書く。揮毫。
猫   ――― 猫に同じ。

【大意】
竹やぶに添って描いてみたが、なおまだ咆えないところを見ると、虎の画になっていないのであろうか。
別に牡丹を背景に描いたのではないから、獅子の画であるはずはない。
どうも猫の画に似ている。
つまり虎を描いて猫に似た類いで、腕の未熟さを示してしまったようだ。
筆を揮って描いてはいるが、何流ぞといわれる先生について習ったわけではないので、大方の嘲笑を受けるのは覚悟の上である。


大きく開けた口元が、どこか笑っているようで愛らしい虎。
真上から見たような構図や、虎の持つ弾力ある強靭な筋肉や、自信たっぷりに持ち上がる尻尾は、捉えどころも面白く、宗麿先生だからこそ描けた虎ではなかろうか。

絵の背景に「腕が未熟~云々」を画かれながらもこの絵を残されたのは、案外先生もこの可愛らしい虎をお気に召したのではないかと想像し、また笑みが零れる。
60.6/H146.5cm
河上省吾箱 / With box signed by KAWAKAMI Shogo
800,000円(税込)

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